1 児童指導員の仕事とは
児童発達支援や放課後等デイサービス事業所では、児童発達支援管理責任者の指示のもと、個別支援計画や事業所のカリキュラムに基づいて障害のある子どもの支援を行います。
1-1 個別支援計画に基づいて子供たちの生活をサポート
児童福祉施設を利用する児童には、それぞれ個別支援計画を作成し、「お子さまがどのような特徴や課題を持っているのか」を明確にし、お子さまのニーズに合わせたサービスを提供することで満足してもらうことを目的としています。また、「サービスを利用する上でのゴールはどこか」なども具体的に設定し、生活の質の向上を目指します。この計画に基づいて生活のサポートを行います。個別支援計画は、児童の成長のために何が必要なのか、どうやってサポートしていくのかが記載されており、目標と期限を決めて実施していきます。
1-2 送迎等
児童指導員は、児童やその家族と直接関わる仕事がメインとなりますが、 児童の様子や個別支援計画の実施について活動記録を作成したり、通所系の施設は送迎を実施したりすることもあります。
1-3 日常生活の支援と指導
施設に入所している児童の多くは、保護者からの教育が受けられません。児童指導員は、保護者に代わり日常生活の支援・指導全般をおこないます。具体的な指導内容は、基礎的な挨拶や礼儀作法、食事の仕方、勉強や社会ルールの習得などです。
例えば、規則正しい生活リズムを身に付けたり、きちんと挨拶が出来たり、礼儀を守ることができたりといった、社会生活を送る上での基本を教えます。障害によって日常生活の動作が難しければ、改善のための訓練もします。
2 児童指導員の働くところ
働く場所は児童発達支援や放課後等デイサービス、入所施設、通所施設などになります。
2-1 児童発達支援施設
児童発達支援施設は、障害を持った就学前(小学校入学前)の児童が通所する施設です。児童発達支援施設は、福祉サービスをメインとする福祉型と、治療もあわせておこなう医療型の2種類があります。
児童指導員は児童の年齢・知能レベルなどに合わせて、遊びや学習の指導をおこない、生活に必要な基礎的な動作や集団生活における適応能力が身につけられるように努めます。
2-2 放課後等デイサービス
放課後等デイサービスは、障害を持った小学生~高校生(6~18歳)を対象とした通所施設です。利用者は、放課後や休日、夏休み・冬休みなどの長期休暇を利用して通所。児童指導員の支援・指導によって日常生活で身につけるべき動作、コミュニケーション能力、集団適応能力などを学んでいきます。施設によっては、社会性向上を目的とした地域交流もおこなわれます。
2-3 障害児通所施設(療育施設)
発達障害、知的障害、難聴、肢体不自由、重症心身障害などの障がいを持つ子どもが、それぞれに応じた療育を受けるために通所する施設です。対象年齢が小学校就学前の場合は児童発達支援、小学校〜高校就学中の場合は放課後等デイサービスに区分されますが、その両方を提供する多機能型の施設もあります。これらの施設では本人だけではなく、家族や地域に対しても支援をおこなうことで、子どもの育ちの環境を整えることを目指しています。
2-4 障害児入所施設
家庭での養育が困難な、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)などの障がいを持つ子どもが入所する施設です。食事、入浴、排泄などの介助に加え、日常生活における基本的な動作や知識、技能の習得などを支援します。
2-5 児童養護施設
虐待や死別などの理由で保護者と暮らすことのできない1歳〜18歳までの子どもを保護、養育する施設です。日常生活を共に送るなかで、基本的な生活習慣や学習習慣を身につけられるよう保護者の代わりとなって指導します。さらに、家庭に戻るための環境整備や、進学・就職に向けた支援もおこないます。
3 児童指導員になるために
児童指導員として働くために試験を受ける必要はなく、大学・大学院において一定の学部を卒業することで、児童指導員任用資格を得ることができます。また、児童福祉施設で2年または3年以上の実務経験があれば任用資格を得ることができます。さらに、教員免許や社会福祉士、精神保健福祉士のいずれかの資格がある場合も同様に任用資格を得て、働くことが可能です。
つまり、
- 4年制大学や通信制大学で心理学・教育学・社会学を専修する学部・学科を卒業する
- 社会福祉士もしくは精神保健福祉士の資格を取得している
- 高校もしくは中等教育学校を卒業後、2年以上児童保育士事業に従事する
- 3年以上児童保育士事業に従事し、厚生労働大臣または都道府県知事から認定される
- 幼稚園教諭・小中学校・高等学校の教育免許を所有しており、厚労大臣または都道府県知事から認定される
上記5つの条件のうち、1つでも満たせれば児童指導員として働くことができます。
4 まとめ
児童指導員の仕事の平均年収は約322万円です。
年収は高くないですが、家庭の事情や発達の問題を抱える児童、その家族に対して、生活指導や相談業務などさまざまなアプローチで支援をおこなうやりがいのある仕事です。また、児童や家族の近くで、きめこまやかなケアができ、社会に役立つことを実感できます。
興味のある方は是非トライしてください。